Synthesizer Vで国歌斉唱をきれいに歌わせる方法

Synthesizer Vの歌声データベースを複数利用することで、POPソングなどソロの歌声以外にも、混声三部合唱などを歌わせることも可能です。

個性が必要なソロと違い、合唱ではハーモニーや調和が重要になります。今回は、複数の人が一つの旋律を歌い上げる斉唱の作成方法を紹介します。

いろいろなやり方があり、今回紹介する方法は、現時点でホビー三昧Dが試しながら見つけた独自の方法です。

Synthesizer V Studio Proは、無償のバージョンアップで機能拡張が続いているため、将来もっといいモードができると思いますが今回は、Synthesizer V Studio Pro 1.8.1(2023年5月1日時点)を利用しています。

合唱と異なり同じ旋律で歌う斉唱では、声質が異なる複数の歌声データベースを使う必要があります。各パート2人づつ重ねるといい感じになっていきます。

種類が増えたため、Synthesizer V Studioの音声データベースの一覧にまとめてみました。

複数の歌声データベースを使うことでコーラスも可能になる

2022年のゴールデンウィークの時に、コーラスグループの合唱練習でのSynthesizerV Pro活用法という記事を書いてから、合唱のデモンストレーションをいろいろ考えてきました。

坂の上の雲のテーマソングStand Aloneをテストソングとして作って遊んでいました。(YouTube Music Stand Alne)

市販の楽譜は演奏権の他にも著作権あり(配信許諾が必要な作品Stand Alone)

手近にあった、ポピュラーソングに強い有限会社ケーエムピーさんの楽譜なのですが、配信許可については公式サイトにも書かれていません。

楽譜の音楽出版社に許諾に関して問い合わせを入れてはいますが、インターネットに公開するとなると、著作権や演奏権の問題などいろいろと不安要素があるため、公開は控えることにしました。

そこで、誰もが知っていて記事内に安心して使えるデモンストレーション教材をずっと考えていたのですが、童謡以外に、なかなか思いつきませんでした。

ヤマハの「ぷりんと楽譜」では配信に関する利用について楽譜通りの演奏であれば利用許可を免除するとあります。こっちの方でまた作っていこうかなと思います。

適度に短く誰もが知っている日本国家「君が代」を題材にすることにしました。「君が代」はe-gov法令検索「平成十一年法律第百二十七号 国旗及び国歌に関する法律」から、オリジナル?の作詞作曲を閲覧することができます。

国歌斉唱の完成版の動画です。

Synthesizer V Pro版でも、今回記事で紹介する最低限の調節だけで、ちゃんと斉唱になっています。

今回は、歌声をフラットにしただけですが、実際に作っていくと、どの人を立たせたり、どの人をなじませるか、といった音楽性の追求への可能性を大いに感じました。

まず楽譜を用意する

まずは、楽譜を用意する必要があります。つぎにその楽譜からSynthesizer Vのピアノロールに直接打ち込みます。

やってみるとわかりますが、かなり大変です。ホビー三昧Dとしては、MIDIファイルにエクスポートできる、FinaleGuitar Proといった楽譜ソフトの利用をおすすめします。

ソースネクストにて、5月19日までKAWAI楽器のスコアパレットが5,480円で割引販売中です。スコアパレットはWindows限定ソフトで少し古いソフトです。サブスクリプションの「スコアメーカーZERO」が最新版です。

スコアパレットの説明欄にあるSMFはMIDと同じなので、拡張子をSMFからMIDに書き換えるだけで使えるそうです(ソフトを持っていないので未確認)。

楽譜の打ち込みは楽譜ソフトが楽

Synthesizer Vのピアノロールに楽譜を打ち込んでいってもいいのですが、Guitar Pro8という楽譜ソフトに入力しました。

去年はDTMやSynthesizer Vのピアノロールに楽譜の音符を読み解きながら一つ一つ打ち込む作業がすごく大変でした。

楽譜を元に本格的に打ち込みをしていく場合は、楽譜ソフトを使うのが一番簡単です。ピアノロールと楽譜の音符を見比べるのは、なれれば簡単なのかもしれませんが、僕には難しかったです。

音符には音の高さと長さ情報が含まれています。楽譜ソフトからのMIDIエクスポートファイルを使えば、楽譜通りのメロディがピアノロールに反映されます。

楽譜からの音符入力時や、楽譜の再生機能で音を確認できるので、打ち間違いも減らすことができます。

Guitar Pro8にて楽譜入力

いろいろなソフトがありますが、Guitar Proは、WindowsとmacOSで動く楽譜ソフトとしてギターに強い楽譜ソフトです。バンドスコアを作れるソフトなのでドラムやピアノなども入力でき、再生することもできます。

名前の通りギターに特化しているため、TAB入力もできギターの再現度はかなり高いです。入力楽譜からMidiのエクスポートとインポートができます。

Finale27という世界標準の楽譜製作ソフトと迷いましたが、高額な上、26から3年程度経過しているためもうじき28が出るような気がしたので止めました。そもそも、Finaleを使いこなす自信なんてありません。

Guitar Proを買ったばかりなのですが、楽譜ソフトで表現できる音符記号=MDI再現度と気づきました。楽譜を元に勉強するならFinaleがいいような気がします。

楽譜出版社が利用しているFinaleならどんな楽譜も、その通り入力できます。楽譜にすべて指示が書かれているクラシックにも対応しています。

いっぽうでGuitar Proは、楽譜に指定されないギターの指番号などは詳しくなっていますが、楽譜の音符が省略されているポピュラーソング向けになっています。とりあえず、鳴ればいいかな!!といった感じです。

Synthesizer V Proで斉唱をきれいに歌わせる設定

ここからは、Synthesizer V Studio Proの設定方法の説明です。

DTMへの入力や楽譜ソフトからエクスポートしたMidiファイルのインポート機能を使わない方は、直接Synthesizer Vのピアノロールへ、入力していきます。

Synthesizer VにMidiを移動する

楽譜ソフトに楽譜を転記できたのでMidiファイルをエクスポートし、Synthesizer Vにインポートします。

Midiファイルには歌詞は入っていないので、インポートされた音符に、歌詞を入力をしていきます。

今回は斉唱なので、新しいプロジェクトに入っているボーカルトラックを、複製します。

複製したら、別々の歌声データベースに割り振ります。同じ人をいくら重ねても、声色が同質のため、合唱には聞こえてきません。旋律を変えることでハモることはできます。

実は、一人のパラメーターを調節し終わってから、複製する方法が簡単です。パラメーターコピーの方法を紹介するため、今回は最初に複製しました。作り方はいっぱいです。

パラメーターの設定項目を表示する

記述する順番を迷いましたが、最初に、「ピッチベンド」と「有声/無声音」の基本パラメーターの表示と設定切り替え場所をキャプションで紹介します。

Synthesizer V基本パラメータ設定位置と項目

ピアノロール(鍵盤)の下側隣に、折れ線グラフというか波形風のグラフが表示されます。EDIT(編集)と書かれているところを、クリックすると、パラメーターを選択できます。

ちなみに、DISPとEDITは別々に表示することができます。

ピッチベンドを修正する

初期設定でSynthesizer Vの簡易ピッチモードが走る場合、下の図のように、ピッチベンドは系がゆらゆらします。

Synthesizer Vピッチベンド初期状態

ビブラートが声の高さを変えずに揺らぎを持たせるのに対し、ピッチベンドは、音程に揺らぎを与える設定です。

合唱で音程が揺れると、ばらつきがありハーモニーになりません。例えるなら音痴混在状態です。

Synthesizer Vで合唱を再現し始めると、音を揃えるという意味を、実感を持って理解できるようになります。別人の音痴はわかっても自分が音を外すとどうなるかと、しっかり理解できます。

さて、最初は、ペンモードでまっすぐに引いていました。その後、パラメーターをCtrl+A(command+A)で全選択して、Deleteキーでまっすぐにフラット化できることに気づきました。

SynthesizerVピッチベンドフラット化

苦労して線を引かなくても、サクッと、まっすぐの線になります。

現時点で、僕が知らないやり方がたくさんあります。

息継ぎの場所を確保する

最初にやってしまってもいいのですが、音符入力からMIDIをインポートすると、息継ぎの場所が確保できません。ということで、ピアノロールを少しずついじっていきます。

ピアノロール状で、マウスのホイールを回すと、時間が広がります。

SynthesizerV息継ぎ確保ビフォアーアフター

全音符や半音符などいろいろありますが、感覚で広げていきます。

有声/無声音の設定

さて、日本国家は、息を抜いていくというか、フェードアウトがいい感じです。ということで、有声音から無声音へパラメーターを減らす線を引きます。

ということで、EDITボタンをクリックして、基本パラメーターから「有声/無声音」を選択します。

SynthesizerV 有声/無声音設定

パラメーターは、鉛筆マークを使うとジグザグになるため、ピン間ライン?(キャプチャ内のオレンジの矢印)を使う方が簡単です。

SynthesizerV 有声/無声音設定 ポイント

出音から無声音が始まるといった超絶技が簡単にできてしまいますが、シンプルに、次の音符の少し前のポイントをクリックして押し込みながら、上の方にピッと引くと、ジグザグせずきれいに線が引けます。

ジグザグになったら、「矢印アイコン」の選択で、ポイントを選択してdeleteで消していきます。失敗しても、「Ctrl+Z(Command+Z)」で一つ前の操作に戻すことができます。

パラメータ設定をコピー貼り付けで反映する

「有声/無声音」のパラメーターを、歌声全員のパラメーターに貼り付けていきます。

貼り付け方法は2種類あります。

パラメータのコピー設定

最初に貼り付けるときに、どのモードにするかの選択画面が出ますが、次からは表示されません。

パラメータのコピー設定項目

画面右の歯車を押すことで表示される設定から、デフォルトの貼り付けパターンで設定することができます。

波形をポイント毎で貼り付けていく場合は、画面上の位置を保持して貼り付けるを使うと良さそうです。

再生位置とはカーソル位置の事です。カーソル位置を先頭に移動したり、揃えることで、ズレずに張ることができます。

最初に、パラメーターの選択やコピー時には、鉛筆アイコンではなく、カーソルアイコンが選択状態になっていることを確認する癖をつけた方が安全です。

僕は、鉛筆マークで何度か選択して気づかないうちにパラメーターが個ずれていることがありました。

SynthesizerVパラメーターをコピペですべての歌声に適用する

パラメーター波形のところで、Ctrl+Aをつかい全選択をして、Ctrl+Cでコピーをし、反映させたい(貼り付けたい)歌声にトラックを移動し、パラメータグラフ上でクリック選択し、Ctrl+Vで貼り付けることができます。

ウインドウの上にある「ファイル、編集、表示、修正。。。」から、編集の「パラメーターをすべて選択する」を使い、編集のコピーをクリックし、編集の貼り付けで同様のことができます。

完成形

最初に、作成説明動画を作ってしまい、その後ビフォアーアフター動画の方が、重要だと感じ作り直しました。

今回は、トータル49秒の曲だけの動画を作成しました。

ちなみに、曲のテンポの設定をBPM80から180にすると。。。いい感じです。

最初に作成方法まで流し込み作成し公開した方の動画です。やり方が少し古いですが、取り直し版ができるまで、公開します。

先日亡くなった坂本龍一さんがNHKの100年インタビューで、編曲についていろいろ話していました。曲のテンポを変えるだけでも全然変わっていきます。これは、ほんとに、面白いです。

まとめ

Synthesizer Vを使い始めた当初は「やっぱりソロやバンド向けで、合唱には不向きかも。ハーモニーができるの?」と思っていましたが、とりあえず、形になってきました。

とりあえず、今回の国歌斉唱は、脱個性?的な合唱。。。いやいや、コーラースをきれいに揃えるための音のフラット化の方法です。

ここから、音の粒を揃えたり、歌声の誰を前に出し、誰を押さえるかなど、音楽表現を詰めていくことができていきます。

よほどのプロやレッスン経験者出ない限り、一人では絶対に、できないハーモニー表現ですが、Synthesizer VのPro版を使うと、いろいろできてほんとに面白いです。

合唱では、各パート2人づつ重ねるといい感じになっていきます。種類が増えたため、Synthesizer V Studioの音声データベースの一覧にまとめてみました。

今後もちょっとずつ、いろいろ試して、新たな発見を、記事にしていこうかなと思います。

Synthesizer V割引情報

基本的にDLSiteのSynthesizer V Studio Proからクーポンを利用して購入するのが、一番安いと思います。

SynthesizerVの歌声データベースがには無印とAIの2つバージョンが存在します。AIが付いていない無印の音声データベースは開発がストップしています。とくにこだわりがなければ名前の最後にAIと付いている商品の購入をお勧めします。

DLsiteの販売ページ

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それでも、18%OFFクーポンなどがあるためまだまだ、DLsiteが一番安く購入できます。

2023年4月に開発者自身による歌声データベースのDLSiteでの取り扱いが一気に増えました。一通りのデモソングを確認できる「Synthesizer V Studioの音声データベース」ページを作ってみました。少しずつ更新していこうかなと思っています。

あと、セールなどで安くなっていると、ついつい、他の人の分まで買おうと思ってしまうこともあると思います。

以前試して気がついたのですが、DLsiteでは同じアカウントで同じソフトを2本購入する事ができません。ギフトとして2本目を購入できますが、クーポンや割引価格にはなりません。

購入する前に気づくとショックを受けるので2本目の購入は安くないと言う事だけ頭の片隅に入れておくと、安請け合いの危険を防げます(僕のことですが)。

販売ページで25%OFFクーポン価格が表示されている方は、「DLsiteのクーポン情報と購入時の注意点」に初回登録特典クーポンを手に入れるための攻略情報を書いておきました。

ほぼすべてのSynthesizer V商品、二つ以上同時購入で10%OFF(5月7日23:59まで)

5月7日23:59分までDLSite限定のキャンペーンとして、対象となる2つ以上のSynthesizer Vの歌声合成データベースの同時購入で10%OFFキャンペーンをしています。

この割引は、1段目の割引となるため、2段目の何度でも全商品15%OFFクーポンが適用されます。4月12日まで使える何度でも全商品15%OFFクーポンはカート内の全商品が対象となるため、23.5%OFFになります。

18%OFFクーポンや、20%OFFクーポンは年に数回しか出ないため、2品以上の同時購入がお得です。

今まで開発者自身が手がけるキャラクター音声ではない、Sakiさん Kevinさん Ryoさんの3から、取り扱いが一気に7つも増えました。

今4月3日から、までAHS直営ダウンロードストア限定販売だった歌声データベースが、DLSiteでの取り扱いが開始されました。

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当サイトはAmazonでアフィリエイト活動をしています。領収書などが必要なケースや、現物が必要な場合では、やはりAmazonが便利なので販売リンクを貼っておきます。

歌声データベースですが、Synthesizer Vの開発元であるDreamtonics氏が自ら手掛けた「Saki(歌声データーベース)には無印とAIの2種類が存在します。購入する場合は、現在開発者が注力しているAI版を強くおすすめします。

しかし残念なことにAI版のパッケージ販売はありません。間接的なパッケージ購入になりますが、AHSの交換サイトから歌声データベースを1つダウンロードできるクーポンが付いてくる、Synthesizer V Proスターターパックが利用できます。

ちなみに僕は、スターターパックを購入しSaki AIを追加料金なしで交換しました。

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Synthesizer V Studio Pro
Synthesizer V Pro単体のパッケージ商品です

Synthesizer V Studio Pro ガイドブック付き
3千円で単品販売されているガイドブックが付いてきます。買っていないので分かりませんが、パッケージサイズが大きくなるかもしれません。

歌声合成ソフトウェア SynthesizerVユーザーズガイド
ガイドブック付きに入っている書籍の単品販売版です。DTMを触ったことがある方であれば、SynthesizerVはパラメーターもほとんどないため、買う必要はなさそうですが、DTMを触ったことがない方にとっては重宝すると思います。電子書籍で良ければ、月額980円で読み放題となるAmazon Kindle Unlimitedの対象になっています。初音ミクに比べれば簡単なので、1ヶ月もあれば何となく使えるようになると思います。

Synthesizer V Studio Pro スターターパック
Synthesizer Vの開発元であるDreamtonicsが自ら手掛けた「Saki(歌声データーベース)には無印とAIの2種類が存在します。現在開発者が注力しているAI版を強くおすすめします。

残念なことにAI版のパッケージ販売はありません。AHSの交換サイトから歌声データベースを1つダウンロードできるクーポンが付いてくる、Synthesizer V Proスターターパックであれば、間接的にパッケージで買うことができます。