2023年6月時点でほぼ最速のSSDは、登場したばかりのCrucial T700 Proシリーズ(NVMe SSD)です。PCI Express Gen 5.0 x4, NVMe 2.0接続により、最大速度は読込12,400/書込11,800MB/秒になってます。

少し前の「最速SSDを求めて、WD BLACK SN850Xヒートシンク付きレビュー」という記事の中で、最速SSDの中で僕が現在購入するならどれにするかを書きました。

今回T700が最速SSDの限界をぶっちぎってしまったので、追記説明をしていたのですが、長くなってしまっため、記事を分離することにしました。

Gen5.0モデルの存在を知っていて、7000MB/sのGen4.0モデルを買うのと、知らずに後から気がつくのでは心理的ダメージの大きさがかなり変わってきます。

Crucial T700 Proは最速パーツをついつい使ってみたくなってしまう僕にとっては気になる商品ですが、とりあえず、今は様子見をすることにしました。

今回は、PCIe Gen5.0 M.2 NVMe SSDについて検討しつつ説明してみようと思います。

Crucial T700 Proシリーズについて

2023年6月時点で店頭購入できる、ほぼ最速のSSDは、公式ページCrucial T700 Proシリーズ(NVMe SSD)です。

PCI Express Gen4.0 x4の論理値8000MB/秒を超える、PCIe Gen5.0(PCI Express Gen 5.0) x4, NVMe 2.0接続により、最大12,000MB/秒オーバーに達しています。

T700Proシリーズの読込/書込速度は、2TBモデルと4TBモデルはどちらも最大12,400/118,00MB/sで、1TBモデルは若干遅くなり最大11,700/9,500MB/sとスペック表に書いてありました。

Gen3.0からGen4.0に上がったときも発熱問題がでましたが、Gen5.0モデルは、Gen4.0よりさらに発熱が多くなっています。

どこのメーカーも、大きな放熱板をつけたM.2 NVMeモデルを発表していますが、Crucial T700 Proシリーズは、ヒートシンク付きモデルと、ヒートシンク無しモデルの両方を出しているのが特徴です。

速度的には、現時点では、どこのモデルもほぼ変わらないようです。

Crucial T700シリーズの価格について

T700 Proシリーズは出たばかり商品なので、ほぼ倍の金額になっています。

1TBと2TBでは書込性能に差があります。4TBはまだ市場に出ていないようですが、2TBと4TBは読み書き速度は同じです。

最速パーツとして購入するのであれば、Crucial T700 2TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSD一択になるかとおもいます。

現在、Amazonが代理店から直接仕入れている直販ページがありません。

価格帯ですが、国内正規流通品が確実に手に入る、秋葉原の老舗パソコン専門店アークのCT2000T700SSD3JPか、パソコン工房のCrucial T700 2TB PCIe Gen5 NVMe M.2 SSDが参考になります。

Amazonが国内正規代理店から直接仕入れて発送と販売する価格以外で、更に安い価格や高額な商品は国内正規保障がない危険商品の可能性が極めて高いです。十分注意が必要になります。

M.2-2280 Gen5.0対応 NVMe SSDの注意点と説明

現時点で、PCI Express Gen5.0はまだ出たばかりで、世界最速のGPUであるNVIDIA GeForce RTX4000シリーズも、PIC Express Gen4.0が利用されています。

グラフィックカードやM.2 SSDスロットは、DDR5等のDRAMメモリーと同様、CPUから直接信号線が出ています。物理的な信号線の制約があるため、注意が必要です。

結論を先に書くと、Gen5.0の信号線がグラフィック用のx16とは別に何本か出ているCPUは、AMD Ryzen7000シリーズと第4世代 Intel Xeonとなり、Intel 第13世代iシリーズ(i9-13900等)は、x16しかないため制約があります。

フルスピードのGen5はAMD Ryzen7000シリーズと第4世代 Intel Xeonだけ

ちょっと補足が必要な見出しですが、2023年6月時点で、グラフィックカード以外にも繋がるPCIe Gen5.0のI/F(インターフェース)を持っているCPUは、AMD Ryzen7000シリーズと第4世代 Intel Xeon Scalable Processorだけです。

Intel 第13(12)世代iシリーズのCPUには、PCIe Gen5.0の信号線はx16しかありません。

そのため、M.2をフルスピードで生かせれる環境は限られています。

Gen5.0が使えるIntel 第13世代Core iシリーズの注意点

注意点としてIntel 第13世代のPCIe Gen5.0に対応したM.2ソケットがあっても、それはマザーボードの独自回路による機能であり、x16仕様のグラフィックカードスロットがx8モードへと半減してしまいます。

インテルの公式ページにある、オーバークロック対応第 13 世代インテル® Core™ デスクトップ・プロセッサー搭載インテル® Z790 チップセットにあるブロック図のように、CPUから出ているGen5.0の信号はx16しかありません。

マザーボードの独自回路の仕組みを簡易的に説明すると、GPU用のGen5.0x16を半分に分けてM.2に接続する信号切替回路に実現しています。図で説明すると下のようになります。

M.2 PCIe Gen4.0モードでの切替回路説明図

M.2 Gen4.0モードで動作中の説明図(GPUがx16動作)

M.2 PCIe Gen5.0モードでの切替回路説明図

M.2 Gen5.0モードで動作中の説明図(GPUがx8動作)

図では指で信号切替回路の水色部分を動かすような感じになっていますが、実際は論理回路(ロジック回路)になっています。

マザーボードの箱にReady for M.2 Gen 5.0×4※と印刷されているのを見て、おいらのCore i9 13900Kを更に上の次元に引き上げると期待してしまうと、心理的にがっかりします。

グラフィックカードがGen5.0どころかGen4.0の帯域を生かし切れていないから関係ないともいえなくもないですが。。。

x8モードについてはパッケージや説明書の「※」表記に注釈がかならずあるため、注意が必要なポイントです。

最速モデルM.2-2280 Gen5.0対応 NVMe SSDの購入検討

今回、Crucial T700をメインにGen5.0対応 NVMe SSDについて書いていますが、ここからはT700から離れて、汎用的なことを書いていきます。

ここからは、容量と速度の違いや、発熱問題、PCIe Gen5.0の論理最大速度などを含めて、購入検討した内容を書いていきます。

SSDの容量による速度の違い

SSDには、キャッシュとなるDRAMと、データーを記録するフラッシュメモリがあります。

同じシリーズの中で1TBから4TBまで種類がある場合、小さい容量の場合、コントローラーチップへ並列接続するフラッシュメモリチップの数が減り、速度が落ちることが多いです。

これは、MacBookAirの256GBと516GBモデルで速度の違いが出てくるのと同じ理由です。

通常は、1TBと2TBでは、2TBの方が高速なケースが多いです。

登場したばかりの、最新最速パーツは高額になります。できれば長く使っていきたいと思います。

発熱について

現時点でも、Gen4.0モデルは、Gen3.0モデルよりも消費電力が多いため、発熱が多くなっています。

高速な信号処理をするため動作クロックが高いことが原因です。

今後、WDや日本サムスンからGen5.0仕様の新商品が出たとしても、現時点ではGen5.0はGen4.0モデルより更に発熱が多いため、将来登場するかもしれない新型PS5などへの流用は難しいと感じています。

今はヒートシンクモデル付きモデルがお勧め

基盤サイズが、M.2 type2280(22×80)とが変わっていないため、現時点ではヒートシンク付きモデルの方が良いと思います

ただし、ヒートシンクモデルでもサーマルスロットリング(速度制限)が起こらないことをは保障していません。

Gen4.0あたりからSSDの発熱量が増えてきたため、ヒートシンク付属モデルが売られるようになりました。Gen4.0より高速な、Gen5.0モデルは更に発熱が増えています。

マザーボードによっては、SSDを外した後にM.2スロット付属の放熱板にあるサーマルパッドに、チップの形が残る製品と、全く残らない製品があります(指で押した感じでなんとなく圧着できていない感じがします)。

マザーボードの付属ヒートシンクは、すこし飾り的な物になっていたり、専用設計のようなきっちり設計で作り、SSDが壊れたと悪評が出るよりは余裕をもって作った方が良いという判断があるからかもしれません。

ただし、8万円を超えるウルロラハイエンドクラスになるマザーボードでは、M.2スロットの放熱板がマザーボードの他のヒートシンクとヒートパイプなどで接続している商品もあります。

ヒートシンクモデルの有無については、じっくりマザーボードを観察して考える必要がありそうです。そのときは、ヒートシンクなしモデルが第1候補になると思います。

Crucial T700シリーズがハイエンドユーザーの購入検討の候補になっているのは、ヒートシンクレスモデルの存在も大きいと思います。

マザーボード付属のヒートシンクについては、経験上、購入前に再度確認することを強くお勧めします(今後Gen5.0のSSDが出そろった後に発売されるマザーボードは、M.2ヒートシンクの質が上がると思います)。

発熱によるグラフィックカードへの影響

CPUと直結するGen5.0対応のM.2スロットはGen5.0対応のグラフィックカードスロットに隣接しています。

Gen5.0対応のSSDの影響で、グラフィックカードの温度が上昇し、50度以下で停止しているグラフィックカードのファンが全力回転する可能性があります。

グラフィックカード直下のM.2ソケット(PCIe 第3スロットと第4スロットの間のM.2ソケット)ではGen4.0モデルであっても、熱い空気がグラフィックカードのファンから吸い込まれ、グラフィックカードがアッチッチになります。

となると、将来、Gen5.0のM.2スロットが、第2,第3スロットでも使えるようになっても、発熱部品として使いにくい予感があります。あくまで、予感です。

PCIe Gen5.0 x4の最大速度は16,000MB/s

Crucial T700 PCIe Gen5 NVMe SSDでの読込/書込速度は、1TBモデルが最大11,700/9,500MB/sで、2TBモデルが最大12,400/118,00MB/sです。

出たばかりの製品で書くのは気が引けますが、理論的なPCIe Gen5.0 x4の最大通信速度は16,000MB/sあるため、伸びしろはまだ4000Mb/sほどあります。

まだまだ、高速なバージョンがでる可能性が高くなっています。7000MB/sでも十分高速なので、それほど急がなくても良いような気がします。

ランダムアクセス速度など

最近SSDを購入するときに気にしているポイントですが、体感に影響する、ランダムライトやリードの速度もどんどん向上していきます。

SATA接続のSSDで紹介しましたが、SSDのDDRキャッシュメモリーの容量等は重要な要素となっており、ファームウェアによる改善ではどうしようもできない部分もあります。

こちらは、後発組の方が有利になると思います。

Curcialと後発組の有利点

Curcialの親会社となるマイクロンテクノロジーは、アメリカ合衆国アイダホ州ボイシ市に本社を置く、半導体製造の多国籍企業です。

高品質な製品ブランですが、物理的な回路設計を含め、後発組が有利となるため、引き金に指をかけてじっと様子を見るのが良いと思います。

Intel 第14 CPU(i9-14900K)の対応を待つ

現時点でGen5.0に制約がるため、僕が購入するなら、2023年11月ごろ登場しそうなインテル第14世代CPUの、PCIe Gen5.0 M.2ソケットへ対応状況を確認してからにします。

インテルによると、6月時点でN7プロセスの第13世代より微細化したN4プロセスで製造中と発表しています。きっとM.2スロット用x4がGen4.0からGen5.0に変わっているはず(希望的観測です)。

フラッシュメモリーについてですが、現在NVIDIAが、世界中の政府や企業に向けて、単体コンピュータユニットとしては史上最高値の、生成AI計算用のユニットを生産中です。

高速なフラッシュメモリの需要が高くなっているため、量産効果により、より高密度で高速なフラッシュメモリの値段が下がってくると思います。

2023年6月時点では様子見が吉

いずれにしろ、まだ早く市場に出すことを最優先したファーストペンギン製品なので、WDかサムスンのモデルの登場をとりあえず待ってみることにしました。

Gen5.0仕様の最速モデルが出ていても、現時点で僕が、追加購入するなら、やはり、Gen4.0モデルを選びます。

現在最速モデルに関しては、ヒートシンク付きを含めGen5.0対応モデルのCrucial T700 2TB 3D NAND NVMe PCIe5.0 M.2(Amazon直接仕入れ販売)もあります。秋葉原のパソコン専門店アークのCT2000T700SSD3JPといった、国内正規流通品の購入を強くお勧めします。

Amazon販売リンク
“Amazon販売

Samsung 990 PRO 1TB(MZ-V9P1T0B-IT/EC 国内正規保証品)
Amazon公式販売ページにて、ヒートシンク付きモデルと無しモデルが選べます。
2022年12月23日に発表された990Proは、WDのSSDから更に150MB高速な、読み込み7,450MB/秒で書き込み6,900MB/秒の最大転送速度を誇ります。王者奪還と言った感じです。ちなみに、PCIe Gen4.0 x4での理論上の最大転送速度は8GB/sです。
国内正規流通品販売のページリンクになっていますが販売と発送の両方がAmazon.co.jpになっていない場合は、正規代理店商品取扱店のパソコンSHOPアーク(MZ-V9P1T0B-IT)などからの購入が安全です。(990 Proメーカー公式情報)

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Western Digital SN850X 1TB M.2-2280 PCIe Gen4 × 4 NVMe WDS100T2X0E-EC
PRO990が登場するまで、僕が購入するなら第1候補のSSDでした。今は2番手です。
読取り最大 7,300MB/秒として2022年8月31日に出たばかりの商品です。
パソコンショップのアークさんのWestern Digital SN850X WDS100T2X0Eでも値段が下がっています。どちらも送料無料で国内正規品なので安心して購入できます。
ライバルのサムスンが2022年12月23日に990Proを発表したため、現時点では第2位になっています。990Proより安くなっています。

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Western Digital SN850X 1TB PCIe Gen 4.0 x4 (最大転送速度 7,300MB/秒)
ヒートシンクが付いているバージョンです。実際に購入して触ってみましたが、後付けでヒートシンクを装着をするより良さそうな気がします。
Pro990の放熱板付きが出ました。990Proより価格が安くなっているためまだまだ強力なライバルです。メーカー公式WD_BLACK SN850Xスペックシート(PDF)

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Samsung 980 PRO ヒートシンクモデル 1TB PS5動作確認済み PCIe 4.0(最大転送速度 7,000MB/秒) NVMe M.2
Samsungのヒートシンクは大人でエレガントな感じのすっきりとしたヒートシンクが付いています。
CPUとGPUの真ん中のスロットで、マザーボード付属のものが基盤サイズとほとんど変わらなかっため、こちらを今使っています。後付けのヒートシンクはピンキリのため選ぶのが大変です。背も低くメーカー製パソコンの増設には良いと思います。

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Western Digital 内蔵SSD 1TB WD Blue SN570 (読取り最大 3,500MB/秒) M.2-2280 NVMe WDS100T3B0C-EC
M.2 PCIe Gen3×4モデルのため省エネです。高速帯域のM.2 PCIe Gen4仕様のSN850は最大6Wほど電力を消費し熱を持ちます(カタログに書いてありません)。その点、こちらはPCIe Gen3で1TBモデルでも平均0.09Wから最大4.5W程度と省エネです。2Wの差ですが基板サイズが22mm×80mmと小さいため違いは大きいです。
速度については、動画編集などで連続したデータを読み書きする場合は、差を感じます。一方で、ゲーム用途やDAW(DTM)などの音源や色々なプラグインのインストール先としての利用なら、ほとんど差を感じません。
ワゴンセールにある安い(3,000円から6,000円程度)のNVMeの中には500MB/秒程度のSATA並の速度の物もありますが、こちらはGen3の仕様限界までキッチリ出ている製品です。メーカー公式WD Blue SN570スペックシート(PDF)