せっかく演奏曲を作ったのに、後から公開できない悲しさに気づくのは、悲しすぎます。今回は楽曲関係の著作権に関する記事です。
記事では、商業視点から外れた目線で著作権について書いています。
記事とは間接的な内容になりますが、YouTubeと包括利用許諾契約を締結している著作権管理団体は、「Jasrac」と「Nextone」です。
下記のリストから著作権管理サービスから、作品検索をすることで、それぞれが管理(印税徴収代行)している楽曲を確認することができます。
- 著作権管理団体「Jasrac(ジャスラック)」(http://www2.jasrac.or.jp/)
- 著作権管理団体「Nextone(ネクストーン)」(https://www.nex-tone.co.jp/)
JasracとNextoneで管理されている楽曲をYouTubeで公開する際は、利用者に代わりYouTube(Google)が、配信権、演奏権等に関わる手続きを行い印税などの利用料を、広告収入等を原資として権利管理団体へ支払っています。
著作物とは何か
著作権法は、ざっくり書くと、感情が入った作品を著作物と定義し、著作物を、他人に勝手にまねされたり、作品を作ったときの感情を他人に汚される行為から、著作物や創造者を守るための権利を守る法律です。
商標権や特許など登録が必要な権利と違い、感情が入った想像成果物はたとえ他者から落書きに見えたとしても著作物には権利が自動発生します。
著作権の権利として、人格を守る著作者人格権と、著作物を守る著作権が、それぞれ独立してあります。
著作者人格権のうち、著作権人格権を侵害している者や侵害しようとする者に対して、差止め請求をする権利は、相続が可能です。
そのため、著作者が亡くなっても孫代までの遺族が生きている限り存続します。これは、名誉や声望を取り戻すための権利でもあります。
この権利は、遺族以外にも旧友や保護団体に指定することもできます。遺族以外に指定された請求期間は著作者が亡くなってから70年間です。この70年間は民法の不法行為により損害請求権が存続します。
あまり認知されていませんが、70年間が過ぎても、遺族が亡くなるまでの遺族からの請求権が存続します。
著作権についてはビジネス視点で書かれた禁止喚起ばかりがあふれています。
遺族の気持ちを考えずに、作品を冒涜するような行為を平然とする人もいますが、故人と親しい遺族にとっては耐えがたい苦痛になります。現在の常識と当時の状況が一致することは少ないです。
いかなる時もリスペクトの気持ちは利用者にとって重要だと思います。
国家がもつ刑罰権は著作権の期限に影響されず永久に存続します。
著作物に関する法律の一覧
著作権については、商売として著作権管理事業者であるJASRACが啓発活動と請求活動をして説明しています。
JASRACの発信する情報から理解することもできますが、どうしても著作権ビジネスの視点からの見方なので、偏っているように感じました。
情報は原典からひもとくのが一番確かです。まず最初に、著作権法で保護されている、著作物に関する法律の原典リンク(e-Gove法令検索)をのせておきます。
まずは、昭和四十五年法律第四十八号 著作権法です。守られている権利については、下記の項目です。
- 著作者の権利
- 著作者人格権
- 著作権
- 出版社の権利
- 出版権
- 電子出版権
- 実演家等の権利
- 著作隣接権
- 実演家の権利
- レコード制作者の権利
- 放送放送事業者の権利
- 優先放送事業者の権利
- など
- 著作隣接権
以上の権利を守っています。特徴としては、登録などをしなくても自動的に権利が発生する特徴があります。
著作権法以外の著作権に関わる法律を列記してみました。
他にもいろいろあります。著作権に関する問題は、著作権法に加えて、民法や商法などと組み合わさっていくため、非常に複雑になっています。
著作権で守られる著作物とは何か
著作物とは、人のまねをせずに考えたことや感じたことなどの感情や思想が表現されている物です。
著作物であるための条件
著作物であるための条件は下記の4つです。
- 人間の思想、感情であること
- 表現した物だあること
- 創作性があること
- 文芸、学術、芸術、または音楽の範囲に属する物であること。
これ以外の著作物を守るためには、特許法や商標法などの別の法律で守ることになります。
大前提として、まねをせずに考えた事や感じたことがツリー構造のトップに君臨します。そのため、だれかの作品を感情を込めて演奏したりした場合は、著作隣接権となり、原作者の許可がなければ公表することができません。
偶然一致したまね以外の同じ作品
著作権法では、一生懸命独自で考えた事が、誰かのアイディアや作品とかぶった場合は、著作権としては自分の著作物になります。
著作物は、完全複写を目的とした作品以外でも、周知されていて元作品を想起できる場合は、元作品からの二次作品として判され著作物になります。
そのため、二次作品を公開するには、作品の元となった原作者の許諾が必要になります。
著作権法では、オリジナリティに対するマネという行為を防ぐ為の権利なので、著作物による営利に対する損害賠償は、民法や特許や商標などからの侵害に対する賠償額が決まります。
自動的に発生する権利やマネしてないと言うことを証明する為に、商標登録などや文化庁への登録がされます。公的に登録され世に出回り公表されている作品と類似したものをオリジナルといえるか?という判断がされます。
民法が関わる著作物かどうかという点については、裁判所で判断がされます。
利用権の譲渡
著作権は、著作権の一部または全部を他人に譲ることができます。譲渡は、当事者の合意だけで契約が成立します。諾成契約といいます。
基本的に当事者間の合意だけで成立しますが、著作者が二重譲渡することも可能なため、譲渡するときには、文化庁にその旨を登録します。
文化庁への登録は裁判で譲渡を受けたことを立証するための公的証明となります。そのため、譲渡された著作権の範囲を契約されていなければなりません。
譲渡の登録は著作権の、一部、全部、放送権、期間限定など、契約内容を事細やかに明記します。基本的に、契約したこと以外で利用はできません。
利用権の譲渡は、許諾者である著作権者の承諾を得ない限り譲渡することはできません。
利用権の譲渡は民法に関わることなので、著作者であっても著作権の乱用とみえる無理難題が盛り込まれた契約は、裁判により制限されたり無効になることがあります。
著作権は相続が可能
公表権や氏名表示権、同一性保持権といった著作人格権は、著作者だけが持てる人格に関する権利のため著作者が存命の間は譲渡できません。
一方で著作権は財産権に該当するため、登録しなくても自動的に遺族へ相続されます。
相続に関して相続指名者や遺族がいない場合は、民法の規定により国庫に帰属し消滅します。法人が解散し、財産が国庫に帰属した場合も同様に消滅します。
相続可能な遺族は、権利の行使権順に配偶者、子供、母父、孫、祖父母、兄弟姉妹になります。遺言書による順位を変えることができます。
登録しなくても相続される遺族に加えて旧友や、権利管理団体を先順位に指定することができます。
遺族以外が登録されている場合は場合70年間が請求期限になります。遺族は70年が過ぎても亡くなるまで下記の請求をすることができます。
- 著作者人格権を侵害しようとする者やした者に対する差止め請求
- 故意や不注意によって著作者を侵害した者への名誉や声望を取り戻すための請求
- 遺族自身の法的利益が侵害された場合は民法の不法行為による損害賠償請求
著作権者が亡くなった日に0歳の孫がいた場合、著作権管理団体が受けた70年を過ぎても、孫が100歳を超えて存命の場合は著作権はまだ消失しません。
著作権は、感情が入った作品を著作物と定義し、著作物を、他人に勝手にまねされたり、作品を作ったときの感情を他人に汚される行為から、著作物や創造者を守るための権利を守る法律です。
この法律は登録しなくても想像した瞬間に自然発生する権利です。
著作隣接権は二次利用に対しても有効なので、想像以上長い期間有効になります。
ここまで書いてなんなのですが、とても複雑で、広い範囲になります。
ここで書いたこと以外にもいろいろ、あります。
民法による損害賠償をするには登録が必要になりますが、著作権法だけではなく、民法や商法や商標法など色々な法律との複合で入ってきます。
一つ一つひもとくと、矛盾点もありますが、基本的に、まねを防ぐや、遺族感情など、憲法の幸福追求権などからつながるわかりやすい法律です。
著作物から利益を得たいという気持ちも含めて、リスペクトの気持ちで利用する事が大切だと思います。
メジャー・レーベルの楽曲は音楽出版社に譲渡されている
公開されている楽曲の多くが著作権買取によって、譲渡料を払い著作権譲渡契約を結ぶことで、著作権が作曲家から制作依頼した側へと譲渡されています。
メジャー・レーベルから発売される楽曲の著作権は、著作者からレコード会社またはプロダクションが指定する音楽出版社に譲渡されます。
つぎに、音楽出版社がJASRACやNexToneなどの著作権管理事業者に管理を任せるのが一般的です。
著作権管理事業者と音楽出版社とは
著作権管理事業者とは、印税などの徴収や著作権の侵害行為に対する対応を代行してくれるサービスです。
アーティストが音楽出版社と結ぶ著作権契約では、著作者は楽曲の著作権をすべて音楽出版社に譲渡すると規定されています。
著作権とは、著作者が持つ財産権の総称であり、複製権、演奏権、上演権、公衆送信権、上映権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権、二次的著作物の利用権などさまざまなものがあります。
著作者人格権は法律上譲渡できない
著作権譲渡契約を結んだとしても、著作権法第59条によって、公表権や、改変を許可しない同一性保持権はといった、著作者人格権を完全に譲渡することはできません。
基本的に著作権法は、憲法の幸福追求権の実現に向け、他人に作った作品をかってに公開されたり、改変される事に対する不快を取り除く事を目的とした法律です。
そのため、アレンジバージョンを作りたい場合問題になってきます。
著作者人格権については、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つが入っています。
作品製作を依頼したり、販売権を購入した人が、著作者に後から公表や利用に二次利用の改変などが認められないから、公開差し止め請求が出される可能性もあります。
譲渡できないから譲渡契約には行使しないという条項が入る
そこで、YouTube配信をする側がよく知っているJASRACやNexToneなどの著作権管理事業者に登録する前に、音楽出版社と結ぶ著作権契約の中には、著作者人格権に関わる権利項目が多く入っています。
音楽業界での実務経験がないため、実態はわかりません。
以前、映像素材や写真素材などのロイヤリティーフリー素材提供サイトへの、素材提供者としての契約書を熟読したことがあります。
提供する側の契約に共通して存在する契約条項の中に「著作者人格権を行使しない」という条項が、共通してほぼ入っています。
著作権は提供者にあるとしつつ、著作者人格権を行使しないというなんとも微妙な契約です。
音楽出版社と結ぶ著作権譲渡契約の中にも、「著作者人格権を行使しない」という条項が入っている可能性が高いです。
先に書いたとおり、著作者人格権は、アレンジに関する条項が含まれ、著作権法で譲渡できない権利です。
民事上の損害賠償よりも強力な対応が必要な場合があります。「音楽出版社が受けた著作権譲渡契約に含まれる契約条項が第三者に侵害された場合、著作者は著作権の譲渡を受けた音楽出版社の依頼に基づき著作者人格権の行使を行わなければならない。」と書かれている可能性もあります。
著作権管理事業者が管理するのは作詞と作曲権だけ
著作権管理事業者であるJASRACでは、著作権のうち、作詞と作曲権だけを管理しています。
作詞は、歌詞なのでわかりやすいです。
基本的に、著作権法では、著作物のマネをした作品は、マネの元となった著作物を生み出した人の許諾がなければ、公開を差し止めや人権侵害で訴訟される可能性があります。
作曲に関する著作権侵害裁判判決
歌詞と違い作曲した曲に類似性があるパクリ曲と疑われた作品に対して、著作権侵害の裁判が度々発生しています。
著作権法では、著作物のマネをせずに作成した物は、似ていてもオリジナルな著作物として認められます。
ただし、マネをしていないという事を証明する必要があります。
著作権は、登録しなくても作品を生み出した時点で自動的に発生します。
そのため、どちらが先に作ったかが重要になります。そこで、商標や特許のように、文化庁に登録することで、公的な証明ができるようになっています。
パクリ曲に対する著作権侵害の過去の裁判判例を調べることで、作曲に対する著作権が、どこまで、著作物として保護されているかを確認することができそうです。
裁判では楽譜のメロディが主な争点になる
裁判ではメロディーや、リズム、テンポ、形式、コード進行、ハーモニー(和音)などの楽曲の構成要素などの観点に基づく対比が争点になっています。
裁判官は作曲家ではないため音楽性について判断はできません。そこで、客観的に判断できる書類で審議されるケースがほとんどです。
そのため、判決文の中で両曲の楽譜ベースとなる、メロディーの類似性が争点となっています。
もちろん、一部分の類似性から制作物としての作曲者が著作権侵害を訴えるケースもあるため、メロディー以外の要素も総合的に判断されています。
侵害を認められない判決文が多くありましたが、僕が目にとまりちょい読みした裁判記録の判決文では、判決理由としてメロディーの類似性が書かれているケースが多かったです。
メロディーに関して
いきなり話が飛びますが、メロディに関する面白いTEDスピーチ「Why all melodies should be free for musicians to use」がありました。
動画:TED.com Damien Riehl • TEDxMinneapolis「Why all melodies should be free for musicians to use」
アメリカでは、全く知らないメロディなのに突然、このメロディは私の曲の物だからと訴えられることがあるそうです。表現できるメロディ数は有限であり、この危険が常につきまとうそうです。
発明や著作権は未発表の物に限ります。
そこで、現在登録されていない1オクターブを使い12拍間で表現できるメロディをプログラムで作り、すべてパブリックのGitHubで公開してしまうことにしました。
たとえ訴えられても、これはパブリックドメインで公開されている既存のメロディであると証明できれば、訴えを退くことができます。といった内容です。
世界にはすごいことを考える人がいる物だと、感心してしまいます。
著作権法
改めて、カバー曲や編曲を作る立場から、著作権法について書いてみます。
- 公表権
- 無断で著作物そのものを公表されない権利
- 氏名表示権
- 著作物を公表する際に著作者名の表記を決定する権利。実名以外に無名または変名使用も含む。
- 同一性保持権
- 無断で著作物そのものを公表されない権利
公開目的の視点から著作権をひもといていくと、公衆送信権の前に演奏権が立ちはだかっています。
正直、楽譜の入力よりもその後のパラメーター編集に時間がかかります。市販の楽譜を編曲して演奏するには、編曲者に許可が必要となり個人レベルを超えます。
楽曲の著作権侵害の実態について
著作権侵害に関する実態参考に同一性保持権(著作権法第20条1項)(JASRAC)がわかりやすいです。
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)が原典ですが、著作権関係は、裁判所の過去判決の判例から解釈が拡大しています。令和3年にWeb項目など大幅な改定があった著作権法が令和5年6月1日から施行されます。
興味本位で最高裁判所 裁判例検索で判決文をいくつか確認してみました。
先に書いたとおり、棄却も多いですが、年々厳しくなっているのが現状です。
著作権侵害は民事に加え刑法にも接触します。カラオケ法理など。。。。なところが多く、詳しく調べれば調べるほど、何もできなくなります。
演奏目的の音楽出版社の楽譜
市販されている楽譜は編曲などのアレンジがあり、作曲者が亡くなっていても編曲者に対して著作権が発生します。アレンジも著作物のため、著作者の没後50年(現在70年)の保護期間に触れてしまいます。
僕は最終的に、ぷりんと楽譜などの利用規約で許可が出ている物を、購入し、規約通りに使うのが一番簡単だと感じています。
いくらYouTubeの包括契約があり、CDなどの原曲を耳コピは同一性保持権の侵害に当たらないとなっていても、どこまで再現すればOKなのかが明確ではありません。
また、JASRACが管理しているのは「曲をそのまま利用する」演奏や録音に関する権利であり、編曲に関わる権利は扱っていません。
耳コピの曖昧さとAI解析
最近AIの発展がめざましく、例え耳コピができたとしても、カラオケ法理を根拠にどんどんエスカレートしている中で、AI解析による耳コピとの区別が付かなくなり近い将来また厳しくなる可能性を感じました。
弾き語り用の楽譜なら。。。と思いますが、路上ライブ時代と違い、昨今のYouTube配信で弾いてみましたアレンジ問題などいろいろあります。
楽譜や配信音楽などから機械学習したAIが作り上げた楽曲という問題が今は大きな話題になっています。
一方で機械学習により、以前は特殊技能として演奏から、楽譜に落とし込んでいく作業が容易になっています。
そうなってくると、楽譜がなくても楽譜を作ることは簡単にできてしまいます。
AIによるコピー演奏など、何らかの規制が入ってくる可能性は十分あります。
むしろ、似すぎているため機械には表現できない間の悪さなど、一般の人には理解できない部分が、音楽家として我慢できない問題となるかもしれません。プロとして、ここは許せないという域の問題です。
まさに同一性保持権の問題です。
演奏が許可されているケースとより詳しい情報
まず、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号 改定試行令和5年6月1日)に含まれる演奏権については、個人的に練習したり編曲(アレンジ)する場合は、市販の楽譜でも全然問題ありません。
ただし、個人的であっても、不特定多数に向けての演奏をする場合は、楽譜の関係者に対して例外規定がない限り許可が必要になります。
詳しくは、国内で販売されるほぼすべての楽曲の著作権を管理しているJASRAC(日本音楽著作権協会)にある音楽をつかう方(JASRAC)と、楽譜コピー問題協議会(CARS)が参考になります。
やっかいな編曲問題
楽譜の多くは原曲に対して編曲がされています。JASRACは原曲の権利は管理していますが編曲に関わる権利は取り扱っていません。
これは、著作者人格権と著作権は別であり、著作者の人格を守るための法律だからです。第三者による利用に関しては管理するが、編曲までは管理しきれません。
そのため編曲された楽譜を演奏配信する場合は、著作者と譲渡契約を結んだ、楽譜の出版社へ許可を取る必要があります。
演奏が楽譜通りであれば許可連絡不要と明記している楽譜もあります。これは、楽譜の出版社が著作者との契約に盛り込むことで許諾されているからです。
それ以前に、市販された楽譜は編曲がされているため、出版社は編曲に対する著作権を持っています。
アレンジを加えた場合は、楽譜出版社が楽譜を販売するときと同様の許可を作詞作曲編曲者や関係者に取る必要があります。
著作権法も令和三年法律第五十二号による改正が令和5年6月1日から施行され有効になります。
どんどん変わり、カラオケ法理など、今は問題がないけれど、将来は侵害行為になることも多くあります。
判例自動検索システムの次は自動控訴手続き作成AI
元々アメリカには判例自動検索といった事案から判例と賠償金額を自動選定するシステムがありました。これにより、弁護士は依頼を受けるべきか受けないべきかと素早く判断できます。
2023年になり非常に簡単に利用できる対話型人工AIを一般化させたChatGTPが今世界の注目を集めています。
そのChatGTPの基礎技術を使った、大規模言語モデルLLM(Large Language Models)を利用した新世代判例検索システムの登場は目の前まで来ています。
著作権侵害団体が対話型人工AIを導入するとどうなるか
JASRACなどの著作権管理団体の規模を考えると、学生バイトや未経験社募集のパートでも利用できる、著作権侵害訴訟書類作成提出統合管理システムのような物の導入と運用開始もあるかもしれません。
JASRACが管理している著作物数と現状の侵害行為数を見れば十分導入コストがペイできます。
自動判定により刑事訴訟前の被害届手続きも同時に行われ検察官がパンクする可能性もありますが、今まで見逃してきた悪質なケースを、AI判定させることで費用対効果を数字で割り出し絞るだけでもかなりの増収になります。
割安な価格であらたな、著作者に対する、侵害行為への控訴支援サービスとして打ち出すかもしれません。
人工AIはグレーを黒にするのが得意
対話型人工AIは、グレーを黒にする文章術に長けています。今までは見逃してきた事案でも、提出書類作成のコストが減ることで略式裁判が増える気がします。
映像関係製作ならロイヤリティーフリー素材や撮影時の肖像権や施設管理権などの所有権などの確認だけで済んでいたのですが、映像作品や楽曲関係はとっても面倒です。
悪質なケースに対して自動で作成される、控訴文や被害届の他、内容証明付きの警告文が、低コストで簡易に作成できれば、著作権管理団体は更に多くの印税を手に入れることができます。
AIは過去のデーターに基づく、非創造的な作業は得意です。本当に創造的な成果物をAIを作ることはできませんが、ほとんどの裁判も創造的な成果物を作りません。
AIによる過去の判例を元に人間が納得できる論理で攻められたら、人間には対応できないと思います。
令和5年6月1日から施行される改訂 著作権法はウェブに配信に対応
著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)が令和5年6月1日に施行されますが、改定はネット配信時代に合わせて大幅なものになっています。第七章 権利侵害などを読み上げてみても、Web関係の改定が多くあります。
該当しない行為であっても「権利者の不利益になる場合はその限りではない。」と一文が付け加えられています。
たらい回し的に、別途条例に従うという表現も多く、別法案や条例と矛盾する法律をぼかすことで更に複雑になっているように見えます。
今回は令和3年の時勢に合わせて著作権法が改定されています。
色々グレーゾーンを突いてくる違法アップロードの海賊行為に対処するためか、解釈の範囲が広く緩く裁判官の裁量に左右される曖昧さがあります。
こういった点で、より厳しくなったように見えます。
今回、あらためて著作権法を音楽利用の視点から色々調べましたが、著作権法関係は非常に複雑怪奇でファジーな法律です。
シンプルに、明確に許可されている事以外は、関わらない方が安全だと、僕は感じました。
作曲家の思いとレーベルの思いは別
コロナ禍の頃、スタジオジブリの鈴木プロデューサーが、以前鈴木敏夫のジブリ汗まみれというラジオ番組で、ジブリ作品のキャプチャ画像を、Zoomの背景などに自由(常識の範囲内で)に使っていいと公表した裏事情を話していました。
スタジオジブリ内にも、著作権にうるさい人がいるらしく、彼に気づかれないうちに公表したそうです。ビジネスとして仕事をしている人は、著作物から1円でも多く収入を得るのが仕事です。
利用許諾に関して宮崎駿監督にも相談したそうです。常々、作品を作る漫画屋は、儲かることより、より多くの人に見てもらうことが最重要だ。使ったり、見てもらってなんぼだと大賛成したそうです。
現在92歳の世界的なジャズピアニストの穐吉敏子(秋吉敏子)さんが、ジャズマスターズ賞というアメリカのジャズ界で最高の栄誉を受賞しました。
日本人として初の受賞となり、そのときの穐吉さんへのNHKのインタビューで、「自身の作品の評価は自分が死んでから、どれだけの人にカバーされて演奏されるかにかかっている」と話していました。
多くの音楽家など作品を作る人は、カバー(コピー)には寛大です。
映画関係の監督や演出家に脚本家の間でも「俺の作品を参考にしてどんどんパロってくれ、より面白い物を見てみたいから」と、インスパイアの意味ですが話しています。
なるほどと感じます(当然、更にいい物を作ってやるから見ていろよ!!と言う気持ちがメラメラしています)。
著作権に関するルールも重要ですが、リスペクトの気持ちがあれば、問題ないような気もします。
一方で、命を削って一生懸命作った物を、TVで放送されているや、みんな聞きたいでしょと、CDやネット配信をキャプチャして、自分の作品のように配信している人にいい思いはしないはずです。彼らは、より面白い物を作り出していないからです。
最近どこかの駅中ピアノが、一部のマナーの悪い利用者問題で撤去されたとニュースで報道していました。ますます、窮屈な世の中になっていきます。
騒音問題以外にも、ピアノを持っている方はご存じだと思いますが、ピアノを維持するには調律が必要です。ピアノに乗るのは論外ですが調律が狂う演奏もあります。どうも、極端に想像力が少ない人が少数いるようです。
楽器を始める人はコピーから入ります。憧れのあの曲を弾きたい、こんな曲を弾いてみたいというのが練習のモチベーションになります。
多くの漫画家が、以前、著作物の私的ダウンロードに対して反対意見を表明しました。それは、漫画家の多くが、憧れの漫画をまねして、何度も描くことで技術を盗み上達していったからです。
音楽も、憧れのあの曲をコピーしたい、自分も演奏したいという同期から始まります。作った物を公表することがモチベーションにもつながります。
どうまとめていいか、困ってしまいます。リスペクトの気持ちを持てば、許容される世の中の方が、のびのび生活できる気がします。ここまで読み上げる人は、問題ないと思います。
著作権は、ざっくり書くと、感情が入った作品を著作物と定義し、著作物を、他人に勝手にまねされたり、作品を作ったときの感情を他人に汚される行為から、著作物や創造者を守るための権利を守る法律です。
みんなを驚かせたい、喜んでほしい、この感情を表現して伝えたいという思いもありますが、稼ぎたい儲かりたい、売れてボーナスほしい、誰かにマネされて損したくないも感情です。
レーベルや出版社は、権利を購入した著作物へ付加価値をつけ編集することで著作者としてプロモーションをしています。売ることで生活をしています。
最後にやはり、著作権侵害は、日本国憲法が保障する人格権とも関わり、たとえ軽い気持ちであったとしても著作者が不快に思えば、民事訴訟に加えて刑事告訴もできる強力な権利です。ご注意ください。