ゲーミングPCでGPU選びに迷ったときのアドバイス

ゲーミングパソコンの心臓部は、グラフィックカードです。今回は、GeForce RTX3000シリーズの価格から、予算内でどのクラスを選べば良いかという、指針の一つを紹介します。

この記事に書かれていること

コア数と価格という判断基準は、高い安いという費用対効果の基準と共に、プラス、1万円でどれぐらい性能が上がるかな?という疑問に答え、グラフィックカードを選ぶときの考慮点の一つとして使えます。

GeForce RTX3000シリーズを例に、限られた予算の中で、ゲーミングパソコンのGPU選びで迷ったときベンチマークや型番だけで判断せず数値を元にできる限り良い選択に役立つかもしれません。

なぜ記事を書いたか

基本的にホビー三昧Dでのゲーミングパソコン紹介では、ベンチマークやマニアックな考慮点は省略しています。

なぜなら、そういう細かいことを検討し始めると、疲れてしまうからです。ただ、結果だけ書いておくと、裏が心配になると思います。そこで、検討時の種明かしとして、記事として公開することにしました。

他にも、言語化できない、失敗経験や、別の指標など、まだ色々ありますが、今回紹介するこういった切り口をしている記事は見たことがないので、参考になれば良いなと思いました。

お勧めのパソコン紹介の所まで読み飛ばす

NVIDIAの価格設定の見える化

独自自社開発・自社生産(外部工場への委託含む)・自社販売のAppleデバイスと違って、NVIDIAはインテルやAMDと同じで、部品としてのチップメーカーです。

そのため、最終製品は、チップを使ったMSIやAUSUやGIGABYTEといったパーツメーカーが組み立てた商品を購入することになります。

リファレンスカードとは

リファレンスカードとは、チップメーカーが開発した部品を仕様通りに動かすための設計をもとに作られたカードのことです。

基本的に多くのパーツメーカーは、NVIDIAがチップと共に提供するリファレンス回路(参考回路)を元に、独自機能を付けていきます。

以前は、各社リファレンスカードという、NVIDIAの設計通りの同じ製品が出た後に、各社独自のオーバークロック対応製品が出ていました(今はいきなりオーバークロック対応製品が出ているような気がします)。

独自機能のGPUチップを冷やすヒートシンクの冷却性能や基準値以下でのファンレス動作などの付加価値によって、価格帯が変わってきます。

これでは、純粋に値段の違いを付けることができないので、今回は、NVIDIAのリファレンスカード価格を元に、このカードは高いか安いか?の基準として参考にしました。

グラフ化すれば一目瞭然、性能と価格の相対関係

まず最初に、NVIDIAの公式製品ページで表記されている価格とコア数の関係をグラフして見える化したグラフを見てください。(価格は2022年9月22日時点でのNVIDIA公式の製品紹介ページより)

GeForce RTX3000シリーズCUDAコア数と価格の関係

見ての通り、CUDAのコア数とNVIDIAの表示価格は線形関係にあります。GeForce GTX1000シリーズの頃から、NVIDIAはコア数で価格を決めているのではと毎回感じてしまいます。

今回は、RTX3090はゲーミング用途と言うよりクリエイター向けの製品となり別格級に割高なので省いています。

グラフの傾きを元にコア数から価格を逆算

グラフの傾きは、コア数(Y)=0.0862×価格(X)−843です。

価格=コア数÷0.0862+9779.58で求めることができます。

コア数が10240あるRTX3080Tiは、128,573円になります。順番が上下しますが、コアあたりの単価は12.55円です。

表で確認する

普通は、メモリー速度や容量クロック数まで全て表に表しますが、今回はどのランクを選べば良いかという事を見える化するための表になっています。

製品名CUDA(コア)RT(コア)メモリ容量(GB)TDP(W)表示価格(円)CUDAコア単価ちょい足し性能比
RTX 3090 Ti1075284244501.02
RTX 3090104968224350¥229,800¥221.03
RTX 3080 Ti1024080123501.14
RTX 3080(12GB)896070123501.14
RTX 3080(10GB)87046810320¥109,800¥121.03
RTX 3070 Ti61444882901.04
RTX 30705888468220¥79,980¥141.21
RTX 3060 Ti48643882001.36
RTX 306035842812150¥49,980¥141.40
RTX 30502560208130¥39,800¥161.00
NVDAの基準価格とCUDAコア数の関係

グラフィックカードの性能は、同じNVIDIA Ampere(RTX3000シリーズ)アーキテクチャならCUDAコア数で決まります。

もちろん、CUDAコアを動かすクロック数やメモリー速度も影響しますが、コア数で性能がほぼ決定します。

ベンチマーク結果で判断するよりコア単価で比較する方がシンプル

基本的に、動作周波数の違いやメモリー帯域よりも、コア数の違いの方が演算能力に効いてきます。

単価が上がるオーバークロックモデルはどんなメリットがあるの?

オーバークロックモデルは、少ない性能向上を実現するために、選別された石を使い大電力を流し込む非効率的なグラフィックカードになっています。

オーバークロックに耐える選別された石(GPU)を使っているため、製品価格が高くなります。

一方で、冷却能力が高い放熱板やファンが付いているため、50℃以下ならファンを停止すると言った仕様になっていたりするので、定格で静かに動かしたいという目的で選ぶ事もあります。

静音性をあげようとすると、CPUクーラーやATX電源ユニットに、パソコンケースなど、全体的にコストがかかるため、予算を優先するならコア数が多い方を選んでおいた方が満足度が高いです。

買うときはとりあえず販売価格とCUDAコア数を割って単価を出す

グラフィックカードを選ぶときにはとりあえず、購入価格とコア数を割ってみて、コア単価を出して比較する方法もあります。

グラフィックカードをワンランク上げるか下げるかの参考にする

46,800円のRTX3060(3584コア)か、62,980円のRTX3060Ti(4864コア)のどちらにしようかなと迷ったして、計算してみます。

購入価格÷CUDAコア数=コア単価

結果はRTX3060が13.05円、RTX3060Tiが12.94円になります。微妙なラインですが若干RTX3060Tiの方がコストパフォーマンスが良いことが分かります。

価格差が小さい例えを出してしまい役立たないと感じたかもしれませんが、2018年頃までは、ワゴンセールで値崩れした激安グラフィックカードもちょくちょく出ており悩むことが多かったです。

実際にGTX1080とGTX1080Tiを検討した時のメモ

僕は、GeFore GTX1000シリーズの時に、GeFore GTX1050Tiを購入し、今まで使っていたRadeonよりもゲームでの動きがGeForceの方が優れている一方で、性能不足に気付き1週間ぐらいで、GeFore GTX1080Tiを購入し直しました。

Evernoteを検索したら2018年に検討した計算書が出てきました。最上位のハイエンドが7万円台で買えた良い時代です。

768コアのGTX1050Tiが22,000円で28.64円、3185コアのGTX1080Tiが77,500円(10%還元の7750ポイント付き)で24円(ポイントを含むと21.89円)、2,560コアのGTX1080が65,800円で25.70円でした。

GTX1080とGTX1080Tiと迷い、50℃以下でのファンレス動作や8GBと11GBのメモリー差など総合的に考えコア数に対するコストパフォーマンスが一番高かったのでGeFore GTX1080Tiにしました。

GTX1070も検討しましたがこれを買っても、また買い換えようとかあと少し足しとけばと悩み、結局買い直す危険があったためドカンと買ってしまいした。

以降、自作PCパーツとしてのグラフィックカード購入時の性能に対する高い安いという費用対効果の基準と共に、プラス、1万円でどれぐらい性能が上がるかな?という、参考になるかな?などと検討するときに、考慮点の一つとして、使っています。

予算のちょい足し性能でどれぐらいパフォーマンスアップするか確認する

すこしマニアックに書きすぎてしまいました、あまり深いことを考えずに、単価に対してどれぐらい離れているかのチェックと、ワンランクアップする予算の「ちょい足し性能比」をみると、RTX3060TiはRTX3060に対して1.36倍コア数があります。

そこから、どうしようかな。。。と考えるのも手だと思います。

ページ内リンク:クリエイティブ用途に興味がないので「まとめ」まで読み飛ばす

ほぼクリエイティブ用途のRTX3090について

RTX3090はコア単価が22円になり割高です。このシリーズはどちらかというと、クリエイティブ用途に使われています。

NVIDIA RTX(Quadro)系について

NVIDIAには、NVIDIA RTX(旧Quadro)系という、コンシューマ向けゲーム用GeForceと同等の演算能力で、2倍以上の価格設定がされたラインナップがあります。NVIDIA RTX/NVIDIA Quadro RTXソリューション(NVIDIA公式)

Quadro系は絶対にモニターが消えてはいけない金融系や医療系、エラーが許されない設計業務などで利用され、12時間フルロードで動かしても故障せず演算エラーが出ないように作られています。

Quadro系の店頭価格やカスタマイズ選択価格は、GeForceに対しておおよそ2倍から3倍高くなります。

クリエイティブ業界でのRTX3090の立ち位置

アニメを含めCGアニメーションなどでは、多数のスタッフが作業しており、全てのスタッフが長時間レンダリングの耐久性があるQuadroを利用する予算や必要性がないため、ゲーミング用途のGeForceを使っています。

更にNVIDIAもゲーム向けと「GeForce Game Ready Driver」とクリエイター向けの「NVIDIA Studio Drivers」の2種類を提供しています。

全てのスタジオで3090が使われてるわけではなく、ほとんどの職場ではRTX3090ではなくRTX3080やRTX3070などのグラフィックカードが使われてます。

でも業務用途にも使えるRTX3090は、メモリーが24GBありプレビューや部分レンダリングぐらいならサクサクこなせます。

グラフィックメモリーですがCGのレンダリング時にグラフィックカードのメモリーをオーバーした途端に、激重になります。

あまり安すぎると、業務用の70万円近いNVIDIA RTX A6000(ざっくり書くとRTX3090の48GBメモリ仕様)の代替として流れ込んでしまうため、若干高くなっているところもあります。

こういった事情から、RTX3090やRTX4090は、GeForceの値段設定ではなく、プロフェッショナル用途のNVIDA RTX(Quadro系)の半分からちょい安といった値付けかもしれません。

ゲームするならRTX3080Tiまでで選ぶのが現実的

クリエイティブ関係でのQuadro系に近い24GBもメモリーを搭載したRTX3090よりも、ゲーミング用途なら、RTX3080Tiまでのラインナップから選ぶ方か、22年11月以降に販売解禁されるRTX4080モデルを検討した方が幸せになると思います。

もちろん、RTX3090はフラグシップですが、予算に糸目を付けずにゲームを最高のスペックで楽しむなら、10月12日以降に解禁されるRTX4090一択です。ただし30万円以上となりかなり、ぶっ飛んでいます。

まとめ

あらためて、コア数と基準価格のグラフをのせます。

GeForce RTX3000シリーズCUDAコア数と価格の関係

こうやって見ると、NVIDIAの価格設定は、非常にシンプルでわかりやすいです。

予算からどのクラスのグラフィックカードを選べば良いかの参考になるかと思います。

正直、GTX1050やGTX1060とかGTX1080とかGTX1080Tiとかぱっと見ても、何が何だかわっぱり分からないと思います。僕もそうでした。ちょっと謎の暗号文書きすぎてすいません。

だから、僕はパソコン紹介であまり細かいことを書かない方が良いかなと思っています。

最近は消費電力対効果なんかも計算するようになっていますが、それについては今度書いてみようと思います(もっと収集が付かなくなるぐらいマニアックです)。

2022年9月22日時点で色々考量したゲーミングパソコンの紹介の記事

今回の記事は、マウスコンピュータで秋のセール対象になっているゲーミングパソコンの紹介記事の中で、根拠の一つとして書きながらマニアックに膨れ上がった事をまとめた記事です。

で、今ホビー三昧Dとして、限られた予算の中で、一番お勧めのゲーミングパソコンの記事を紹介しておきます。

あと、RTX3080やRTX3070を搭載したゲーミングパソコンについては、30万円以上の金額に対して5万円程度の違いしかない可能性も高く、RTX4080が出たら間違いなく陳腐化するので、僕なら購入しません。

あと2ヶ月ニヤニヤして待ちながら、お金を貯めて買った時の感動を味わった方が、絶対幸せになります。RTX4080なら、2年以上、ウハウハ!!サイコー、どんなゲームドンと来いと、鎮座できます。

ついでに紹介、9月29日時点でお勧めのゲーミングパソコン

9月12日にセール対象から外れてしまった、20万円からお釣りがでるゲーミングパソコンがセール対象に返り咲きました。構成はi5-12400FとRTX3060Tiの絶妙なバランスの組み合わせで総額193,600円に収まっています。

RTX3060Tiクラスのパソコンだと、せいぜい価値が下がっても23万円から3万円程度で、新型が出てステップアップしようとするとガガガッと予算追加をしないと満足できないレベルなので、値段的にもキリがいいので、今このタイミングのチョイスが幸せになると思います。

ちょっと記事最初の「NVIDIAの価格設定の見える化」まで戻ってみる

マウスコンピュータのサポートは、公式直営Apple Storeを別にするとホビー三昧Dが個人的に購入したどのパソコンメーカーよりしっかりしています。

ゲーミングパソコンとして、トラブルは自作PCの醍醐味と思えてしまう方以外には、マウスコンピューターでの購入が断然お勧めです(もちろんトラブルで煩わしい思いをしたくないクリエイターの方にもお勧めです)。

「G-Tune HM-B-3060Ti」お勧めカスタマイズ構成
一応ホビー三昧Dがお勧めするカスタマイズ設定です。変更箇所は「GOLD仕様の700W電源」と「ケースファンを3つ」の2箇所です。
「G-Tune HM-B-3060Ti」カスタマイズベースモデルバナー
上のバナー?をクリックするとベースモデルの仕様が確認できます。詳しいカスタマイズの根拠などは下の記事で公開中です。